近隣の町では、誰しも知る有名な園芸店でトマトの苗を買った。
それも
「極度に甘い。子供はキャンディー代わりに食べたくなる。」とのうたい文句。
単純な私は、その甘言を疑うことなく素直に信じ、苗を六つも買った。
土だって、メイン州のロブスターの殻が混じりカルシュームが、たっぷりと含まれているという最高級を勧められ、魚運搬用の大きなプラスティックのコンテイナーに満たす量として、$100以上使った。
衝立棒だって、やわな品では強い風雨に耐え切れないだろうと、パイプ状のものにして、何やかやで$200を越して、下の小父さんから
「トマトを買ったほうが安上がりだったよ。」とからかわれた。
手塩にかけ、やっと熟れたトマトを口に含んだが、このトマトをキャンディーより甘いと言うなら、レモンも甘いとなるだろう。
大輪の朝顔と夕顔の種を姉から送ってもらい庭の柵を花だらけにして通る人を楽しませてあげようと夢に画いたのに、蒔いて三ヶ月近くになるというのに、全く花が咲かない。
その上にツルが伸びても柵にも巻きつかず、伸びたツルを毎朝見つけては右巻きにしてテープで止めている。
でないと、地上を這って伸びつづける。
毎朝の通勤に通る人から、なんの野菜がなるのかと訊かれた。
余りにも不思議で、姉に電話をすると姉も不安になったようで
「確かに朝顔と夕顔の写真がついた袋を送ったのよ。」と強調する。
肥料をあげ過ぎると、葉っぱばかり大きくなって花が咲かないと、どこかで読んだので、何もあげていないのに、この葉っぱの大きさ。
年賀葉書より大きく、まるで
天狗の団扇みたい。
早、秋の気配が漂う昨今、花を見れるのかどうかが今一番の心配事。