コヨーテ始末記   4/3/14

車で五分もかからない山林に囲まれた湖の回りを、リードなしのチビと散歩をしていると「林の奥にコヨーテがいたわ。犬から目を離しては駄目よ。」と時々注意をされる。

すると今度は一軒離れた隣人が「裏の崖の上に夕方コヨーテーを見かけたので、チビが食べられないように。」と忠告をしてきた。
「そんな馬鹿な。」と笑うと、隣人は「一緒にいた友人も犬ではないと断言したのよ。動物保護センターと警察に電話をしたわ。」と真剣。

人里離れた寒村に住んでいるわけでもなく人家も多いのに野生のコヨーテがいるとは信じがたい。
オンラインでタウン情報を開いてみると「最近コヨーテ出没の報告が出ているので犬猫を外に置き去りにしないように。塵箱の蓋はきつく閉めておくように。見かけたら直ぐに報告を!」と注意事項と出没範囲の地図に我が家の通りも入っていた。

何とか確かめたい一念で一計を案じ崖の下に薩摩芋を置き毎日見に行くと四日目に消えていた。
この付近に住む狸の仕業ではないかと、今度は木の根元を掘って牛肉を隠してみた。
すると翌朝、何かの動物が掘った爪あとが見られ肉は食べられていた。

Reliableの店で肉をスライスするたび端切れは豊富に出るので肉はいくらでも手にはいる。
そうこうする内に、いつものように深夜12時半過ぎにチビのオシッコのため外に出ると、薄暗い電柱灯の下を犬がトコトコ歩く姿が目に入った。
「隣家のシェパードが、どうして放し飼いで今頃???」と思ったとたん「あれはコヨーテだ。肉を食べに行っている!」と背筋が寒くなると共に「遂に姿を見た!」と言った達成感もあった。

この後、数度姿を見かけ深夜の12時半~45分の間に崖下に来ることが判ると「よくぞこんな環境で生き延びてきたわね。」と愛おしくなり、Reliableの塵バケツから取り出す肉も健康に良いようにと赤味を選び、牛だけでは飽きるだろうと豚肉の日も決めた。
(ゴミ箱から肉を集めている私も見た韓国の客から「何のスープを作るんだ?」と訊かれたのには苦笑)

ところが雪が降り始めるとコヨーテの足跡と血肉が白い雪上に鮮明になってしまった。
これでは「コヨーテの命取りになる。」と止めてしまったが、夜中に降った雪の上に時折足跡を見つけると「可哀想に。どんなにがっかりしたことでしょう。」と哀れで罪悪感に陥った。
やっと雪が溶け春の気配がする日々の中で「野生は野生で逞しく生きるのが自然の掟」と自分に言い聞かせているが、そこを通るたびに林の奥に目がいってしまうしチビも付近を嗅ぎ回っている。

   昨日から急激に木の芽が吹いて来た
コヨーテ始末記   4/3/14_d0024276_1283454.jpg

              雑食のため環境に適応し生き延びる力に優れているそう。  
              兎、猫、犬が好物で人間を襲うことは殆どない。(写真転載)
by arata-tamiko | 2014-04-04 01:48 | 興味ある話


<< これも偶然の出来事 医学研究にビーグル犬を使う理由... >>