医者選びの大切さ   12/5/11

  今回3年ぶりに会った義兄の右手中指2本が細かく震えているのに気づいた。
それも箸やお皿を持っている時は震えが全く見られない。
姉に聞くと「私達は歳のせいだと言っているのよ。来月ある市の健康診断で聞いてみるわ。」と余り気にしていない様子に「パーキンソンだったら、どうするの!」と叱りつけて、私はすぐに検索して近くの総合病院の神経内科に電話をさせた。

 病院から戻った姉夫婦は「やっぱり心配ないって。パーキンソンだったら物を持った時に震えて、何もしていない時には震えないのですって。単なる老人性の震えだから、薬を常用していれば治まるって。」と明るく安心したと言う。
「どんな診察をしたの?」
「一目見て典型的な”老人性震え”って言ったわ。頭の震えなら隠せないけど指ならお尻の下に隠せばいいものね。良かったわ。」とのん気なもの。
「せめて手を触ったとかしたでしょう?」
「いいえ、しなかったわ。どこもさわらなかったわよね?。」と義兄に相槌を求める姉。
それ、ヤブ医者よ!そんな馬鹿なことがある。」と憤る私。

 もらった薬を飲み続けてみると言う姉夫婦に、それ以上何も言えず私は京都に出かけた。
一年半前に帰られた京大のU先生御家族とは親しくしていたので兵庫に戻る前日ホテルから電話をして久しぶりにお話をした。
姉宅に戻り義兄の指を見ると少しも良くはなっていず、几帳面な義兄は真面目に時間通りに飲み続けている。
「絶対に他のドクターに診てもらうべきよ。もしパーキンソンだったら、手術したばかりの貴女は、これからどうやって看病するの!」と怒る私に「でも、どこに行ったらいいの。お医者様に知り合いはいないし。」と姉は不安そうに言い出した。

 思い余ってU先生に「どなたか京大の先生を御紹介して下さいませんか?」と電話をすると「それ僕の専門分野ですよ。僕に診させて下さい。」と言われ、あまりの偶然に驚いてしまった。
何か神経系統とは記憶にあったが、専門が神経内科とは!!!
姉も「こんなことってあるのかしら?それに”診させてください”とまで言われ”はい、はい”と出かけていいものかしら?」と、今度は違う意味の不安を感じ始めている。

 検索してみるとU先生は外来医長と出ている。
一週間入院しての検査チームの三人はU先生と三月に留学される私のお客様のM先生も入っていた。
初めてお目にかかるM先生に姉夫婦が「宜しくお願い申します。」と頭を下げると、M先生も「妹さんにお世話になります。」と、頭の下げあいっこをしたそう。
進行の遅い初期のパーキンソンと診断され、様子を見ながら今は薬なしで行きましょうと言われ義兄も原因が判明し、特に近所の人から「大学病院は薬漬けにしますからね。」と忠告を受けていたからU先生チームの判断に歓喜していた。

 姉は「不思議よね~。今回あなたが日本に戻ったのは主人を救うためだったみたいね。もしあなたが、あれほどきつく言ってくれなかったら未だあの薬(アルマール10)を飲んでいたわね。」と、しみじみ言った。
東京の友達達からも「電話して、すぐに診てもらい検査入院して病名が判明するまでに一ヶ月かからない。それも京大でなんて有り得ない話よ。」と散々言われた。
(老人性震えとは何もしていない時は震えず、ものを持った時に震えるそうで反対だった。)

 12月と言うのに、この暖かい日々

    
      今韓国だけでなくCNNまで取り上げたホームレスの22歳の青年の感動ストーリ。     
    三歳で孤児院に捨てられ他の子供たちからの虐めに耐えかねて五歳で逃げ出しガムや
    飲み物を売りながら公共トイレの階段に寝たりして一人で生きて今は日雇い仕事をして
    いるそう。
    割れんばかりの拍手にも感動のない無表情な青年に「余りにも辛い人生に喜怒哀楽を
    表す方法も知らないのだろうか?」と思いながらも出来すぎた話に半信半疑。
    「本当の話ですか?」と韓国の李先生にメールをすると「初めて知り驚きで見ました。」と
    返事を頂いたが、末文がいかにも真面目な先生の人柄を表す。
    「この私が実地に彼の今までの環境を調べたわけではないですので、残念ながら今回の
     新田様のご質問にまともなお答えができません。ご容赦ください。」には大笑いした。
    80歳過ぎ、寝たきりの奥様を看病している先生は、このような番組を見られないのだろう。
by arata-tamiko | 2011-12-06 08:56


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