旅の想い出   (5)

 50年前の男子同窓生が住む熊本の田舎の村には偶然にも私のお客様に関係する方々が住んでいた。
中の一人、Tさんの実家は私が訪ねる同窓生の家と川を挟んだ対岸側にあった。
御主人と来られた熊本大学からのTさんに「この村を知っている?」と電話をした時に「私の実家のすぐ近くです。」と驚いていたが、これほど近いとは。

 「両親が是非にと言っているので、どうか寄ってください。」とのことで、帰途立ち寄らせていただいたが余りの屋敷に暫したたずんだ。
一部屋は造れると思える広さの玄関のたたきにひざまづいて挨拶をされる女性に「あの~、お母様ではありませんよね?」と聞いてしまうほどの若さ。
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            この門から家の玄関までの庭木の手入れの見事なこと。
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      贅をつくした日本家屋と艶光を放つ廊下。
      木材の種類を聞くと何と”檜”だった!!!
      私がよほど驚いた顔をしたのか「いいえ、先祖が山に植えてくれた木を使った
      だけですから。」と謙遜される。
      さもしく「ところで、これだけの広さのお掃除はどうされるのですか?」と聞いて
      しまう。
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            自然の滝が二本も流れ込み、裕に泳げるほどの大きな池。
            ここは殿様の御薬園だったのを親類のよしみで譲り受けたとか。

 私の熊本行きを聞いたK先生の奥様から「母の従兄が焼酎蔵をもっています。是非寄られてください。」との知らせ。
偶然そこが田舎の友人がスケジュールに組んでいた有名な蔵だった。

                      繊月酒造株式会社
                 http://www.sengetsu.co.jp
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                 これもまた贅を尽くした木造店内。
                 全部の窓は球磨川に面し城跡が一望に見渡せる。
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       この地の焼酎は米からだそうで、特にここのお店の40度の焼酎は酒飲みに
       とっては堪らなく美味しいらしい。
       全ての商品の試飲は出来るのに飲めない我が身が恨めしい。
       お客様のK先生の奥様は惚れ惚れするほどの美人だが、お母様の従兄という
       180センチほどの長身の御主人、歌舞伎役者のような端正な顔立ち。
       70歳近い御主人に「若い頃は、さぞかし、、。」と言うと、笑って否定はしなかった。
       K先生の奥様は美形の家系なのは確か。
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        子供時代、通学道に沿って建つ古い家の庭には金木犀が植えられていた。
        金木犀の香りは昔を思い出させ、行く先々で「アッ、金木犀がある!」と
        匂いの先を探す私に「私達には匂わんな~。まるで犬の嗅覚みたい。」と
        友人に笑われた。
        五十年ぶりに、このむせるような香りを行く先々で堪能した。
by arata-tamiko | 2011-11-23 00:18 | 諸々の出来事


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