私が見込んだだけあったFさんの話    7/22/11

  一分間話した数日後、50年ぶりにFさんと2時間話した。
高校時代から今日までお互いが歩いてきた人生を学生時代の言葉遣いで語り合った。

「あんたには本当に悪いことをしたと50年間思い続け、特に手書きでお客さんたちに賀状を書くたび”ナ行”で筆が止まるんよ。だから、あの手紙は本当に嬉しかった。俺の一生の宝物じゃ。
流行歌を歌ったら軍人あがりの父親から殴られるような家庭に育ったけん、高校生で男女が付き合うのは不良しかせんと思ってな~。」

「そうよ。一方的に別れを告げられた私の自尊心が、どれくらい傷つけられたか。私に取って、貴方は良い想い出がないのよ。」と言って笑い合う。

「下駄箱の俺の靴に手紙を入れるのは相当の不良だと頭にきてな、あの当時消火用のため廊下に水を張ったバケツがあったじゃろー。階下のクラスにそれを提げて”出て来い!水をぶっ掛けちょるけん!と怒鳴りに行ったんよ。」

「Tさんも私も、あなたが怒鳴り込んできたと言う記憶がないんだから、間違ったクラスだったのよ。」

「今になってみれば分ることじゃなー。そこに運悪く、校長が通りかかってなー”お前なにをしちょるんか?”と言われて、とっさに”水が入っているかどうかの点検をしています。”と答えたんよ。
もしばれていたら大事になっちょったな~。」

25歳の時に大手の会社を辞め、クラブのボーイをしながら経験を積み昼間は学生になりすまし東大の経営学クラスにもぐり込み図書館通いをしたそう。
71年、銀行にビジネスの計画書を持って一億八千万円の融資のお願いをすると、70過ぎの投資家を紹介された。

工事が始まると投資家が何度か不安げに「失敗したら、、、?」と口に出し始めたので「このビジネスは損をしょうと思って始めたんではありません。縁起の悪いことは言わんでください。」とピシャリと言うと黙ったそう。
いざオープンもまじかになると投資家が、またもや「もし駄目だったらどうなるのか?」と聞いてきた。
「そん時は銀行とあんたが金を失うだけのことです。」と返事したら二度と何も言わなくなったそう。
今の20代の男性で、これだけの度量がある人がいるだろうか?

「そこはヤクザが多いから何かとあったでしょう。」

「そうやな、みかじめ料のことで何回か事務所に連れて行かれたわ。」と笑う。

当たりに当り、多角経営に乗り出しグアムまで手を広げたが4年前に全てのビジネスから手を引き、ある村で車もパソコンもFaxもない隠遁生活に近い日々をすごし自分の趣味の研究を楽しんでいるとのこと。

「高校時代の一番の親友が40代で亡くなったんで、津久見へは一人で墓参りには行きよるんよ。」

「それだったら、どうして私の実家の店に行って私の住所とか消息を聞かなかったの?」

「本当を言うと何度か行ったんよ。店の奥から出てこんかな~とか思うて、商品を見るふりをしたりしてな。どうしても聞けんでな~、要らん消しゴムとかを買って店を出たわ。」

「Fさん、もうそれだけで全部を許すわ!!もう自分の話だけど泣けてくるわ。」

二人で「本当に縁と言うものがあるのね。縁があればこそ、こうやって50年後に話せるんだから。」とつくづく感じ入った。
電話を切る前に「あんたは私が惚れこんだ男だけあるわ。」と言ってあげると「そえん恥かしいことは言わんすな。」と照れていた。

多角経営のビジネスも全て同じ名前を使ったと聞いたので検索してみると、出てくるわ、出てくるわ。
一代であれだけのものを築き上げた彼の才覚に尊敬をしてしまう。

   晴れ  日中35度
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             Fresh Pondにあった魚屋さんが我が家の隣にオープン 
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                  日本人が好む小さな魚はなく、殆どが切り身
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                    三つ大きなロブスタータンクがある。
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       店内でもシーフーッドを座って頂ける。 私はロブスターサラダを頼んだ。
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                  御飯茶碗三分の二の料で22ドルとは!
by arata-tamiko | 2011-07-23 01:39 | 諸々の出来事


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