好きなものが沢山あって困ってしまうが、中でも日本を出てから口にしていない
枇杷とツワが懐かしい。
旬の季節に一時帰国をしたくとも忙しい時期なので、それもままならない。
子供のころ、姉の友達の家に広い枇杷畑があり毎年初夏になるのが待ちきれなかった。
五十年過ぎた今でも季節が来ると姉の友人は私の枇杷好きを思い出し「食べさせてあげたいな~。」と思ってしまうそうだ。
先日姉に
「あぁ~、死ぬまでにもう一度ツワが食べたい!もう何十年食べていないわ。」と言ったところ、数日して姉から「送ったわよ。」と電話があり「生ものを?」と聞き返したほど驚いた。
義兄が山に行って採ってきたそうで、少々時期はずれなので沢山ではないが半分は湯がいて塩漬けにし、残りの半分は生で送ってみたと言う。
三日後には無事手元に届き早速小包を開くと、思い焦がれ続けたあのツワ独特の香りがプ~ンと漂ってきたのは感動ものだった。
塩出しをしたツワを豚肉と煮て白い御飯と頂きながら、76歳になる義兄の優しさ、子供の頃の思い出で胸が熱くなった。
匂いは忘れていた昔の想い出を引き出してくれる。
一緒に住むソンヒーも家中に漂うツワの匂いに「これって子供のころ食べたことがある。懐かしい。」と部屋から出てきた。
一緒に食べ初めながら「貴女は三分の一食べてもいいわ。」と初めから釘を刺しておいた。
夜布団に入りツワで真っ黒になった指を鼻先に近づけるとプ~ンとツワの匂いがして幸福感に包まれた。
初夏の気候
姉が湯がいてあく出しをし、塩漬けにしたツワ。
隣の東北出身の奥さんはツワを知らなかったが、塩漬けの
保存方法に詳しく、今回手ほどきを受けたそう。
長時間煮ても歯ごたえがあるのが美味しさを増す。
生のツワは毛がフワフワついている。
採って数日経つと皮がスイスイと剥けなくなり、とても手こずった。
来年はもっと送ってくれるそう。
何とかやっと皮を剥いたが、あくが非常に強いので指先や爪が真っ黒!