日本に住む姉が、私の事を心配する度に姉の娘が「大丈夫よ。多美ちゃんには、必要な人がいれば必ず現れてくる不思議な力を持っているのだから。」と励ましていた。 今回も三月、四月に弱り切って起き上がれなくなった日々の中、最近近くのアパートに住むようになったお客様の三浦修平先生の奥様から「私、日本で緩和ケアーに携わっていました。」と電話があった。コロナ騒ぎで外出を控える世間なのに、私のためオムツかぶれや口の渇きのうがい薬などを購入をして懇切丁寧に説明をしてくれ、今でも何かとお世話になっている。 他に自宅勤務になった友人の操さんや、益山さん夫妻は何かとお世話をしてくれ、どれほどの助けになったことか。 「遠くの親類よりも近くの他人」とは、よくぞ言ったもの。 亡くなったGraceが紹介してくれた弁護士のEvelynは、癌の新薬「Balversa」の申請申し込み記載の折助けられ、Dana-Faberの申請受付担当者が私の会計士に事情を直接話してくれたことも大きかった。また乳癌治療で退院したばかりの会計士も我が身のことのように思ってくれた。
同じころ、股関節から足先までの激痛に24時間祭悩まされるようになり、股関節の専門医から「加齢によるもの。フィジカルセラピーに行くように。」と診断されたが、私の年齢と癌患者のため受け付けてもらえなかった。 この経緯は後のブログに書くが、最終的にMRI検査にて、転移した癌の腫瘍が背骨の5番目の神経を取り巻いていると判明。 そして9月留学予定の方からメールが入った。 それも何と「滋賀医科大学 泌尿器科、小林憲市部長」とある。泌尿器科でボストンに留学される医学関係者は稀で、20年の間、この先生で何人目だろうか。 今の状態で何が困るかと言えば、Oncologyの先生に英語で説明をされても100%理解出来ない事。私の事は、既にブログなどで読んでいるそうで、厚かましく「疑問点を日本語で説明をして下さいませんか?」とメールをすると、快い返事が来た。多忙な日々だろうに、実に懇切丁寧に説明をしてくれ、どんなに助かっているばかりか精神的な安堵感が大きい。 姉は娘から「ほら、言ったでしょう。必ず必要とする人が現れるって。」と言われ、操さんは「また起きたのね。」と笑いだす。 今日で二週間の放射線治療が終わり、足を切って捨てたいほどの説明し難い激痛も消え夜も寝ることが出来るようになり、私を死の淵から救ってくれたBalversaの服用が、また始まる。 肌寒い #
by arata-tamiko
| 2020-07-16 14:14
思えば83年、ボストンに移って初めての友となったGraceが不治の病にかかり「私が亡くなったあと、私の代わりにTamikoの相談相手になってくれる友人を紹介するわ。」と、Evelynと知り合った。
彼女はハリウッド映画に出てくるようなボストンの大きな弁護士事務所に勤務をするベテランの弁護士。Grace亡き後「困ったことがあったら、遠慮なく私を友人として付き合ってね。」と言われたが、今となってはGraceの思い遣りに深く感謝をする。 政府や保険会社の難雑な手紙を口頭で優しく訳してくれるのには感謝の言葉もない。 「もし審査に通らず、保険が効いても自己負担が毎月35万円となっても絶対に試すべきよ。老後のために必死に働いて貯めてきたのでしょう。アメリカでは新薬に30%の効き目でもあっても良いパーセンテージと言われるのよ。今使うべきよ。」と励ましてくれた。 Johnson & Johnsonから「おめでとう御座います。これから一年間無料で毎月配達されます。」と手紙があった二日後の4月13日、待望の新薬「Balversa」薬が届いた。封を開け、手に握りしめた56錠入りの小箱を眺めながら感無量。 早速、申請書類作成を助けてくれたEvelyn, 病院関係、会計士にお礼のメールをする。 そして二錠をコップ一杯の水でゴックンと飲み込んだ。 この薬が届く間の三月、四月は何の薬も服用していなかったせいで、弱りに弱り切り、友人の操さん初め私の様子を見た友人たちは、私が死へ向かっていると心中思い、私も人を雇い身辺整理を始め百冊以上あった本も全て捨ててもらった。 この癌の激痛は耐え難く、痛み止めを飲み続け日本の貼薬を体中にベタベタ貼っても気休めにしかならない。 60キロ超えていた体重も47キロとなり、死を覚悟する毎日を過ごしていた。 一週間すると、あの激痛が嘘のように無くなり、自分で何とか立ち上がって用事をすることが出来た。 「夢なら覚めないで!」と祈る心境。 万が一の時に知らせる友人家族のリストを作っておいてくれと頼んだ操さんは「嘘でしょう。」と電話から聞こえる私の声に半信半疑。 一ヶ月もすると、首の横のリンパに転移していた一厘玉のような大きさの腫瘍も小さくなっていることが、手で触っても感じる。 服用を始めて一か月後のCT結果に先生は「効く方の50%に入りましたね。」と大満足! 日本の厚生省が認可した暁には、泌尿器系の癌患者には吉報だろう。 蒸し暑い
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by arata-tamiko
| 2020-07-13 10:04
| 私の癌治療
長い事、ブログを休んだ。書くことに少々気が乗らず、気力もなかった。
腎盂癌で腎臓を一つ摘出。五年後の検査で肺への転移が見つかり、ケモに始まり、そのあと一年間の免疫治療。以来三年余り親身にお世話をしてくれたインド人のグンツール女医から「この病院では、これ以上の治療は出来ません。再度ケモに戻るか、Dana-Faberの治験を試すかの二者択一です。」と告げられた。
この病院は、世界的に知られた癌の研究機関なので、治験を勧める彼女によると、数か月は待つだろうとのこと。 すると運よく数日後に、彼女から連絡を受けた同じインド人の医師から「空きが出たので数日後に会いましょう。」との電話。 グル医師は歳のころ50歳近く、これからの段取りを説明する担当者を私に紹介。 DNA検査、そして肺へ転移した癌が同じものかどうかの生体検査などを受け、翌週から治験に入った。 7月から始まった三週間ごとの免疫治療に、決まった時間に毎日服用する一錠の新薬。 三回目の免疫治療あと初めてCTで、散らばった癌に30%の縮小が見られ先生共々喜び合う。 ところが、この治療法も翌年(2020年)の一月辺りから縮小率が減少し始め、遂には癌腫瘍が大きくなってきた。 首の付け根のリンパ腺に転移した一厘玉飴くらいの大きさの腫瘍も手で触ってみると大きくなっている。 医師から「残念ですが、肝臓への転移も見つかり、治験グループから外れなければなりません。次は新薬を試してみましょう。データーとして50%の効果率です。問題は値段です。毎日二錠で一か月分が、128万円です。保険の自己負担額が余りにも大きいようでしたら、病院が金銭的にサポートするプログラムがあるので申請をすると良いですよ。」と説明をされた。 保険会社から来た返事は、毎月私の自己負担額は、35万円とのこと。 病院の親切な担当者のもと、申請用紙に記載をして申し込みをしたが、厳しい検査を受け返事が来るまでの、三月、4月は死を覚悟したほどの激痛と体力的に弱りベッドから起き上がれないほどになった。 湿気の多い暑さ #
by arata-tamiko
| 2020-07-12 10:01
| 私の癌治療
伊丹に到着した先生から「友人の緑さんは、黒沢監督の”素晴らしき日曜日”に出演しています。」と、彼女の旧姓まで書かれたメールが入って来たのには「先生の映画好きは只事ではない!」と感服してしまった。 口角泡を飛ばすかのごとく二人で話し合った日本映画の名作の数々、中にいくつかの間違いに気づいたと修正までしてあった。
この緑さんも得がたき友であった一人で、彼女から聞いた女優時代の思い出話を先生に話した。 昭和22年、日本映画史上初めてニューフェイスを新東宝が一般から募り、時代は戦後の食糧難。 集まった人々の殆んどは、みどりさん同様お昼に出る弁当が目当てだったと言う。 大勢の中で異彩を放っていたのは、復員服に軍靴の日本人離れをした顔立ちと体格の男性で、のちの三船敏郎だった。 採用され、ロケ現場に行くまでは下駄を履き、撮影が始まると大事な靴に履き替えた話。女優たちは、進駐軍のアメリカ兵と親しくして、化粧品を手に入れていたこと。 一番もてていたのは、高峰秀子だったそう。 緑さんの大親友だったMちゃんは、愛らしい人柄で裕福な家柄の兵隊に見初められ、カリフォルニアの豪邸に住み幸せな結婚生活を送っているが、当時からの口癖は”Oh My God"で、全てはこの一言で片づけ、英語は今でも駄目だと緑さんは笑っていた。 「だから私たち当時の仲間は言うのよ。”Oh My God!"だけの英語で、これだけの金持ちを射止めたのは世界でもMちゃんだけよね。」には、大笑いをした想い出がある。 三船敏郎が80年代の終わりにボストンを訪れた折、緑さんは三船氏と昔を懐かしんだそう。 話が飛んだが、先生の話では、年寄りの瞼の垂れ下がりは視野が狭くなり危険だと言う事で保険が効くと言う。 宝塚の姉が下を向いて本を読んでいると、孫が「寝てるの?起きているの?」と問いかけたそうで「失礼しちゃうわ。」と憤慨していたことを思い出し「我が姉よ。もう心配ないわよ。」と早速電話をしてあげた。 「シミ取りも遠慮なく。」と優しく姪まで気遣ってくれる先生。 あぁ~、私が阪神に住んでいたなら、明日と言わず、今日でも行くのに! 曇り 体中がウキウキしてくる 奈良県バンドフェスティバルより 一瞬ピコ太郎かと、思った! #
by arata-tamiko
| 2019-05-16 05:50
| 興味ある話
「2002年にボストン留学の際、大変お世話になりました。シカゴの友人から誘いを受け、3泊5日のアメリカですが、懐かしいボストンに本日一日滞在していますので、もし出来ることなら食事でも御一緒できないでしょうか?」とのメールを受け取った。 また「もし時間がないようでしたら、お顔だけでも拝見してお礼を申し上げたいのですが。」と書かれている。 一人だけ特別扱いでお世話をした記憶はないのだが、このビジネスを初めて二年目のお客様。 こんな奇特な人もいるのかと却って恐縮の思いで出かけた。 4年前に開業をしたクリニックが順調で、昔と違い余裕が出来たので、どんな高級レストランでも構わないと申し出てくれたのだが、生憎と私は洋食は一切駄目。 一番お気に入りのお寿司屋さん、CambridgeにあるCafe Sushiは、このポカポカ陽気の日中では、パーキングをする所が見つからない。 しかたなく、中心地のHarvard大学から離れた中華で朝食。 何と私の野次馬根性をくすぐる形成外科と皮膚科が専門とのことで、散々「あの年配の演歌歌手の鼻は、昔の整形技術で、棒が一本入っているようですね。年末の衣装に腐るほどのお金を散財しながら、どうしてやり直さないのですか?」と聞いたり「若い頃、赤いブーツを履いて、あれだけの美貌とスタイルを誇った歌手が、今はアンパンマンみたいな顔になっているのですが、ポトックスのせいですか?」とか「私の好きだった男性演歌歌手の顔の皮膚が、どうしてゴムのようになってしまったのでしょうか?」と矢継ぎ早の質問。 先生は、厭な顔もせず丁寧に説明をしてくれ、長年の疑問がやっと解けた。 話をするうちに、先生は昔の日本映画の熱狂的ファンだと分かり、お互いに「羅生門の森雅之が妻の京マチ子を見る、あの冷ややかな目元の色気。」とか、小津安二郎や成瀬巳喜男、木下恵介などの名だたる名監督の話で時が経つもの忘れてしまうほど。 まだ56歳と若い先生は、私が「ほら、あの映画に出て、こんなセリフを言った女優がいるでしょう?」と言うと たちどころに名前を教えてくれる。 お店を出る時、先生は「あの~、夜は何をされていますか?もしお時間がありましたら、もっと映画の話をしたいのですが。」と遠慮がちに言う。 で、夜もお会いすることにした。 (続く) 曇り ボストンのいたるところ、花が咲き乱れている 上手い!の一言。 何とかして、もう一度日本の舞台で 歌わせてあげたい #
by arata-tamiko
| 2019-05-11 06:54
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