ある女優   1/16/09

 頂いた「籠清の蒲鉾」一本を齧りながら週刊新潮の「特別読み物、女優岡田嘉子」を読む。
新潮に、この特集号があると得をした気がする。
 昭和13年の厳冬の中、愛人である演出家の杉本氏と北樺太からロシアへ越境亡命。
このセンセーショナルな事件は「恋の逃避行」として世間を沸き立たせる。
これに関する新たな資料が七十年余りの時を経て陸軍の会報誌から見つかったそうだ。
二人に騙されて国境まで案内した憲兵隊が語る彼等の越境の克明な記述。可哀想に彼は責任を取らされている。

 この事件は知っていても昭和47年に彼女が当時の革新都知事の美濃部亮吉から招待され35年ぶりに帰国した彼女を見た時は歴史の中の人物が現れたようだった。
(確か、この都知事は”ドブ川は子供に危ない”とか言って全部埋め尽くし環境破壊したばかりでなく、ばらまき政策で都の財政を前代未聞に悪化させ止める時”僕は政治家にはなりたくなかった”と寝ぼけたことを言っていた。三選では、立候補した石原現都知事を破り、北朝鮮訪問では金日成の政策を褒め称えている。)

 悲劇のヒロインのごとくもてはやす左翼系の演劇界や世間、女優として活躍する彼女を見るたび「国を捨てた人間が、よくぞおめおめと戻れたものだ。」理不尽を感じていた。
所詮は自分の欲望に生き、息子の父親である男性を鉄道自殺に追い込み、杉本に病身の妻を捨てさせた一人の女性。
オランダの血が混じる彼女の美貌で許されたことが多い。美人は何事も得する。

 二人が夢見たソ連はスターリンの粛清の嵐が吹きまくり、二人はスパイの嫌疑をかけられ彼女が「スパイです。」と苦し紛れにサインをしたことで拷問にあえぐ杉本は銃殺刑。
彼女は10年間、過酷な監獄生活をしているが自叙伝や日本でのインタビューでも看護婦として兵士達の世話をしていたと語っていた。
この地は零下30度以下となるそうで、これからすると凍てつく寒さが続く昨今のボストンは極楽となる。

   痛い寒さ
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         紹介したお客様の子供同士、初回から多いに気が合って遊ぶ
by arata-tamiko | 2009-01-18 07:37 | メディアから


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