万引きと私の無知   8/28/17

一時はマラソン選手として活躍した女性の万引き事件が取りざたされているニュースを観ながら、もう二十年以上前の出来事を思い出し苦笑。

お世話をしていた英語学校に通う生徒から「万引きで疑いを掛けられた友達を助けて下さい。」と彼も困り切っている。
紹介された若い男性、Sさんの話は、正確ではないがこのような内容だった。

何でも日本全国の病院同士が、患者のカルテや画像をコンピューター上で送れる相互関係のシステムを学ぶために、N大学からこちらに送られてきたそうだ。
誰しも知るN大学、そして大学からボストンの会社に宛てた紹介状や大学から手渡されたと金色のクレジットカードも見せてくれた。
でも、今考えればカードは怪しいものだったかも。

コンピューター関係の大型店、Micro Softで新商品が発売され持って出ようすると、万引きで捕まったと言う。
「支払っていなかったの?」と訊いた。
「僕みたいにゴールド会員になると、新製品お試しが出来てカスタマーサービスの人に見せるだけで良いのですよ。誤解されたんですよ。」
Micro Centerに行ったこともない私でも、変だな~とは思ったが、その恥もてらいもなく話す様子に「疑ってはいけない。」と自分を戒めたくらい。

彼が研修を受けているMIT近くの会社に行くと上の人が出てきて「彼の言動に関して我が社とは何の関係もありません。大学からの依頼で受け入れただけです。」と突っぱねられた。
次にMicro Centerから指定された日に私一人で行くと、二人の男性が部屋で待っていた。

「彼は、貴女に言い訳を言っているようですが、私たちは挙動不審の彼が店を出るまで待ちました。
タクシーに乗り込んだ時に声を掛けると、彼は慌てて盗んだ商品を上着で隠そうとしました。これでも彼は誤解だと言い張るのでしょうか?」
「でも、彼は有名な大学から送られて来ているのですから、盗む必要もないと思うのですが。」
「信じがたいことですが、捕まえてみれば著名なHarvard大学の教授やMITのノーベル賞受賞者もいましたよ。社会的地位やお金は関係ないのです。」

当時の私はコンピューターが何であるやも知らず、ましてや触ったこともなかった。
コンピューターを仕事に使う友人に電話をすると「私もそこの会員よ。でも新製品をカスタマーサービスに見せるだけでお試し期間があるなんて聞いたこともないわ。」と大笑いされた。

後年、その友人が私にパソコンを教えるようになったが、使えるようになった今、つくづく何と私は無知だったのだろう、、、と、自分の馬鹿さ加減に呆れている。
N大学を全面に出してきたことで、彼を信用してしまった典型的な日本人だった。
友人がいみじくも「言葉が出来ないアメリカで万引きが出来るのだから、日本では相当していたでしょうね。病気ね。」と言った。

   日中も上着が必要となってきた
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      気候と土の違いか、こちらの花々は日本よりも色鮮やかに見える
      毎年、この花を堪能している。
by arata-tamiko | 2017-08-29 07:58 | 諸々の出来事


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