旅日記   11/18/05

 今日の日中は朴夫人と一日を過ごし、夕方の6時に朴夫妻も含め主人の友人達と食事をする予定となっている。
 朴夫人は馬山女学校2年で終戦を迎えたので日本語は上手に話される。彼女は両班(やんばん)と呼ばれる昔の朝鮮王朝の貴族階級の家柄で、私が今まであった韓国人の女性の中で一番上品で綺麗である。でも何故かご主人の事を「うちのオヤジ」と言うのが彼女の持つ雰囲気にそぐわない。宝塚に戻って姉に韓国の話をしている時に「それでね、両班(やんばん)の出なの。」と言うと「何それ?沖縄のヤンバルクイナだったら、私知っているけど・・・。」には、何も言えなかった。
 釜山のパーキング事情は東京より酷く、買い物をしている間、彼女の運転手は何とか空間を見つけては道路で待っている。買い物が終わると、携帯電話でイギサを呼び私達は建物の外に出れば良いのだから楽と言えば楽。でも狭い道に空きを見つける彼の苦労などを思うと、何か私は落ち着かなかった。貧乏性なのだろう。デパートにも行ったが何も買わなかった。私が南浦洞の屋台で昨夜何枚かの韓国CDを買った・・・と話すと「品質が悪いですよ。」とたしなめられた。(日本に戻ってかけてみたら全く問題なし)彼女は決して、そのような場所には足を踏み入れない。私が「あんな面白い場所はないわよ。」と言うと上品に笑う。
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                             朴夫人

 夕方の6時に朴夫妻、黄氏、金氏と主人のアシスタントをしていた趙氏がホテルに私を迎えに来る。朴夫人は74歳で一番若く、他の方達は皆80歳に近い。「オレマニエヨ(お久しぶりです)。」と私が韓国語で挨拶をすると1人1人私と握手して「本当に久しぶりですね。」と日本語で返してくる。豪華な造りの韓国料理店で食事をしたが、観光客が多いらしく現代的にアレンジされた韓国料理で私は余り美味しいとは思わなかった。(後で朴夫人も同じ事を言っていた。)
30年前の釜山では、これほど華美な造りのお店は無かったから、今回私をこのような場所でもてなしてくれたかったのかも知れない。でも美味しい食事は地元の人間が溢れる場所が間違いない。
 建築家の金氏は竹を割ったような性格を持ち、長身でなかなかの顔立ちだった。
30年の時が流れているとは言え、余りにも老人くさくなっているのには少々驚かされる。何気なく「お孫さんは何人ですか?」と聞くと「内孫はいません。」と言われる。私はそれ以上は聞かなかったが、後で朴夫人から彼の不幸を聞かされた。
 私達が釜山に住んでいる時に、金氏の長男はソウル大学受験に2度の失敗の後、自らの命を絶った。親より先に死ぬ子供は親不孝と言う習慣に従って公の葬式は出さなかった。朴夫人の話では、博打好きの彼は当時のお金で一億ウォンを失い奥さんは自殺未遂。(今日の朝鮮日報にモデルが、ある化粧品会社と1年契約で5億ウォン。破格の待遇と言う記事が載っている。それから計ると20年前の一億ウォンは・・・。凄い金額)
 それから何年もしない内に、金氏の奥さんと1人残る息子さん、そして金氏夫婦の娘家族とで温泉旅行に行ったそう。旅館に到着して間もなく食事の前に金氏の息子さんが妹の夫をドライブに誘ったとの事。そして息子さんと娘さんの夫と二人ドライブに出かけ踏み切りで列車に激突。
 幸い娘さんには二人の子供が残されたが、世の中このような不幸な人もいるものかと、金氏ならずとも彼の人生に起きた出来事を受け入れるには余りにも苦しいだろう。
 この後、ホテルの近くのコーヒー店に行く。韓国のコーヒーは30年前と変わらず不味いのには感心させられた。何故か初めから、たっぷりの砂糖を入れてくる。お店は薄暗く姉と妹らしき二人が働いている雰囲気は私の田舎にあった友人の末ちゃんのお姉さんのお店を想い出させた。姉が柿をむいているので自分達で食べるのか?と見ていると、小さく切って皿に盛り、自分も食べながら私達のテーブルに持ってきた。これも末ちゃんのお姉さんのお店を想い出した。
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                 左から金氏、朴夫人、朴氏、趙氏、私、黄氏

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12/8/05

 中崎さんご夫婦を保険代理店にお連れする。一歳三ヶ月のチィーちゃんの利発ぶりは目を見張る。一ヵ月以上会っていないから、初めは瞬きもせずに私を見つめていたが、すぐに慣れて抱かれる。大人が言う事は総て理解している。人込み中に入ると黙って人々のする事を見守っている。神童ではないかと思う。ご両親は「二十歳過ぎれば、タダの人」になるかも・・・と笑う。

 APECの民族祭典で李朝時代の服装をしていた大学生の1人からメールがくる。拙い英語だが彼の喜びが伝わる。早速、友人の金さんに転送。

 夜は毎日コミュニケーションズを通して英語留学に来られている木村さんを鮟鱇鍋にご招待。ご家族を日本に残して三ヶ月の留学コースで彼の会社から送られている。本社工場は偶然私の田舎の大分県に在る。寮住いなので彼の友人達も日本食が恋しいだろうと・・・と一緒にどうぞ!とお誘いした。来られたお二人共、娘がいたら是非紹介したいほど好感が持てる。友人とは似たもの同士だな~と思った。三人共私が恐縮するほど喜んでくださった。

   日中かなり暖かし
by arata-tamiko | 2005-12-09 15:27


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