車の個人売買を自分でされたお客様から、手渡されたタイトルを見て
「アッ、これは!」と声をあげてしまった。
購入者のTさんは、タイトル
(Title)の裏に自分の住所である通りの名と町名を続けて書いた後、気づいたらしく二本線で消していた。
こちらの書類の殆どは、町名は下段に書く形式となっており、特にこの
Titleには、
一つの間違いも許されず、ましてや棒線を引いてしまっては、必ず引っかかることは間違いない。
保険代理店のKevinは、「同じ町名を上の欄に書いただけだから大丈夫とは思うが、彼らは、どんな難癖をつけてくるか判らないからね。結果を知らせてくれ。」とのこと。
8月末~9月初めのボストンは、学生達の民族移動で、どこもかしこも大混雑。
陸運局も例にたがわず長蛇の列で、昨日のお客様同様2時間の順番待ち。
一緒に待つ3歳の娘さんがおとなしいだけに可哀想になってきた。
やっと番号を呼ばれ、やれやれの思いでカウンターに行くと、一瞥した女性は恐れたとおり
「公正証書にして7日以内に出直してこい。」との一言。
「名前を書き間違えたわけでもなし、購入価格を書き損じたわけでもない。それも同じ町名を上下間違って書いただけではないか!責任者に訊いてきてくれ。」と、ねばり待っていると戻った彼女は
「駄目。」の一言。
「2時間待って、また出直して2時間待つのか。酷すぎるではないか。」と文句を言うと、「私は上司の言うことに従うだけだ。それに間違ったそっちが悪い。」とにべもない。
沸々と煮えたぎる怒りで帰りかけると、私といつも軽い冗談を言い合う女性がカウンターで働いていた。
昨日の彼女は番号札を発行していて、受け取るときに「この行列では、きっと徹夜よ。気の毒に。ビールの差し入れでもしましょうか?」と声をかけ笑いあったばかりだった。
彼女に
「助けて!」と、Titleを見せると「待っていて。」と事務所の中に入っていった。
数分して戻ってきた彼女は「大丈夫よ。私が担当してあげるから。」と、それも
「4の番号は嫌いでしょう?」と
「7と8」が入ったプレートを探して手続きを終わらせてくれた。
感謝の言葉を述べる私に「毎日働いているから、今後何か問題があったら私に言って。」と名前を書いてくれる親切さ。
「意地悪の人が多い陸運局の中で、貴女はエンジェルよ。」と言うと笑っていた。
御主人の代わりに来たTさんの奥さんから「新田さんが、突然とても厳しい顔になったので、なにか大変なことになったのだと想像がつきました。」と言われたが、この歳になっても感情がもろに出る大人げの無さ。
あぁ~あ。
蒸し暑さもどる
朝顔が遂に咲いた!!