三ヶ月前に韓国人のレストランオーナーが「良い人だから住まわせてくれ。」と連れてきたHが、早朝出て行った。
いや、こちらから出て行ってもらった。
体を縛っていた鎖から解き放たれたよう。
やっと落ち着ける我が家に住んでいる気がする。
顔立ちは綺麗だし悪人ではないのだが、奇行が続くので日が経つにつれて薄気味悪くなってきた。
挨拶は一切なし。いつ起きたのか、出て行ったのか、また帰宅したのか全くわからない。
料理に火を使っているのを見たことがない。
毎食、腕の長さほどあるアロエを剥いて中のゼラチンを食べ、生野菜に日本の味噌をつけて食べている。
それも黙々と食べ、なぜかTV Japanで日本の番組を必ず見ながら。
「少し日本語が解るの?」と聞いたことがあるほど。
太巻きのトイレットペーパーは一日しかもたない。スヨンに「あの人は食べているのかしら?」と訊いた。
「ソルマ(まさか)?」と言った後、すぐに「あり得るかも、、、。」と笑い出した。
Reliableに働いていた女性が遊びにきた時に、Hが深夜過ぎに二度もトイレを詰まらせ困り果てている話をしていると「ちょっと、名前をHって言ったわね。」と彼女の驚いた顔。
「どうして、HがTamikoの家に住んでいるの?」と聞かれる始末。
そして「これを見れば彼女の全てを説明するわよ。」とHのサイトを開いて見せてくれた。
フロントページは、何か奇妙なバックグランドにシャーマンのように相手を睨みつけた彼女の顔。
綺麗であればあるほど不気味さを覚える。
次のページは二十数年前の彼女の若かりしころの写真の数々。
「私は美しい、魅力的だ。」と書かれ、芸術分野で受賞した賞の数々が延々と説明されている。
最後に「私に興味がある人は、、。」とメールアドレス。
10年近くに12回も引越しをしていると知って、彼女が、可愛そうになってきた。
でもこれ以上手を差し伸べることは出来ない。
20年近く前に、あるアメリカの友人から
「どうして貴女は奇妙な人ばかりと巡り合うの?貴女が惹きつけるの?それとも彼らが貴女を惹きつけるの?」と言われたことがある。
今回のことも、その一つだったのかも。
夕方より雨
道路に駐車禁止のペンキ塗りをするボーイスカウトの子供たち
懸命に働く姿の可愛いさに写真を撮らせてもらった